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第21章 新しいステージ

出産自体はベテランのつもりだったけど、
今回は逆子のままで、
臍の緒が絡まってしまっているように見えていたので、
結局帝王切開になってしまった。

我儘を聞いて貰う形で、
最後の縫合だけ、岳人さんにやって貰った。

その傷痕すら、
いつまでも愛おしいと思えるようにと主治医の先生にお願いしたら、
「縫合だけで良いの？」と言われて、
「いや、僕、カイザーはやったことないので…」と真剣な顔で断っていたので笑ってしまった。


そして、部分麻酔中、
モニターでオペの様子を見せて貰っているのを見て、
「流石、外科医の夫婦ね。
なんか、感無量だわ」と笑う先生は、
あの頃より着実に年を重ねていた。


性別は敢えて確認しないまま出産を迎えて、
全身麻酔から覚めて聞かされた性別は、
待望の女の子だった。


お父様とミケーレには、
「絶対、お母様の生まれ変わりですからね」と言って笑ったけど、
麻酔が切れた後の痛さは生まれて初めての凄い痛みで、
びっくりしてしまった。



お祖父様お祖母様達には、
「甘やかし過ぎないでくださいね？」と釘を刺した。

息子達には、
「女の子で繊細なんだから、
大切に守ってね？」と言った。

「僕はママを守りたいんだけど…」と次男が言うと、

「それはパパの役目だから！」と、岳人さんが真顔で言うので、
みんなが笑った。



こうして、家族が増えていって、
ますます賑やかになっていった。

これから…年齢の順にお別れがやってくることも自覚していたけど、
トパーズの指輪を眺めながら、
1日でも長く、家族で一緒に過ごしたいと思っていた。