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トパーズ
第21章 新しいステージ
お母様が入院したのは、
黒田先生が最後に入院していたホスピスだった。


ミケーレは、どうしても…
遠くからでもお母様に会いたいと言うので、
そのホスピスの近くのアパートを借りた。

毎日、香りの良い花を匿名で一輪届けて、
晴れた日は中庭でお母様が外に出ないかと待っているようだった。


私や岳人さん、お父様も、
休み毎にお見舞いに行っていた。

花を見て、
「綺麗な花だね?」とお父様が優しく微笑んでいた。

お母様は、
「眠っている間に、お花が増えていくの。
和仁さんが贈ってくれてるの?」と、
か細い声で言って微笑んだ。


車椅子に乗せて、中庭を散歩すると、
少し離れたベンチにミケーレが座っている。


お父様は車椅子を押しながらゆっくり近付いて、
ミケーレに会釈をする。


お母様が息を呑んで、
「そんな…ミケーレなの?」と英語で呟いた。


そして、涙を流しながら、
「そんなはずはないわね?
そんな…」と言うと、意識を失ってしまった。


お父様が脈を取り、
「岳人、ストレッチャーを!すぐにスタッフを呼んで!」と言った。



お母様をストレッチャーに載せて運ぶ横で、
「ミケーレも一緒に!」とお父様が声を掛ける。




お母様は一度、持ち直した。
そして、意識を取り戻した時、
お父様の手を握って、
「ありがとう」と言った。

岳人さんには、
「ごめんなさい」
私には、
「みんなを宜しくね」と言って手を握り締めた。


そして、ミケーレには、
耳元で何かを囁いてそっと頬にキスをすると、
再び昏睡状態になった。


機械に繋がれたまま、
延命措置を取られるのは嫌だと言っていたお母様の意思を尊重して、
その日の夜、息を引き取った。



葬儀告別式では、
大好きだったカサブランカと白薔薇でお母様を飾って見送った。


ミケーレにも参列して貰った。
イタリアでも面識のある子供達は、
無邪気にミケーレに纏わりついていた。

お祖父様もミケーレのことを察していたようで、
静かに握手をしていた。

お祖母様も黙ってハグをしていた。


そして、お父様は、
「いつでも歓迎するので、
家にもいらしてください」と言っていた。

「梨香子さんの思い出話をしましょう」と言いながら、
握手をして、しばらく見つめ合っていた。
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