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トパーズ
第21章 新しいステージ

「あっ…ごめんなさい。
お礼言わなきゃと思ったのに、
ちょっとだけ横になったら、眠ってたみたい」
「ねえ?
なんで僕を捨てたの?
ずっと気になってた。
嫌いだったの?
あの高校教師のせい?」
「えっと…。
質問、多すぎですよ?
捨てた訳じゃなくて、距離を置きたかったの。
嫌いだった訳でもない。
あの高校教師…黒田先生のことは、大好きでした」
「あの先生のせいか?」
「…痛くて…」
「えっ?」
「痛くて辛かったんです…。
でも、言えなくて…」
「えっ?」
「キス、乱暴で、気持ち良くなくて…。
いつも唇がひりひり腫れてるみたいで痛かったの。
最初に私が誘惑したんだと思うから、
その点は申し訳ありませんでした。
でも…私の初めては…
あれは酷かったですよね?
あれ、犯罪ですからね」
「ごめん。
どうしても自分のモノにしたくて。
経験もなくて、余裕もなかったし。
全然、麻衣子ちゃんのこと、判ってなかったんだな。
これからやり直せるのかな?」
と私の両手を包み込んだ。
左手には、
岳人さんからの結婚指輪とダイヤモンドの婚約指輪が輝いている。
そして、右手の薬指には、
美しいインペリアルトパーズの杏のような柔らかい石の指輪と、
ブルートパーズの指輪を重ね付けしていた。
「この指輪は?」
「私、結婚してるんです」
「あの先生と?」
「いいえ。黒田先生はもう…亡くなりました。
こっちのインペリアルトパーズの指輪は、
黒田先生からのものです」
「そうだったんだ…」
「その後、同級生と結婚しました。
子供も3人いますよ」
「3人…
じゃあ…
僕とはもう、
やり直したりは…」
「ないです。
山本先生からの指輪、
あの後、捨てましたから」
「そうか…。
そうだよね?」
メール受信の音がその時鳴った。
「あ…。
ホテル、手配出来ましたので、
私、行きますね?
もう会うこともないでしょう?
さようなら」
「最後に…キスしても…」
「嫌です」
「あの…いつか、
何十年も経って、麻衣子ちゃんが独りになったら、
その時、また、僕とのこと、考えてくれないかな?」
「ごめんなさい。
考えられませんから」
「…判った。
本当に悪かった。
お幸せに!」
「私、とても幸せですよ?
じゃあ!」
お礼言わなきゃと思ったのに、
ちょっとだけ横になったら、眠ってたみたい」
「ねえ?
なんで僕を捨てたの?
ずっと気になってた。
嫌いだったの?
あの高校教師のせい?」
「えっと…。
質問、多すぎですよ?
捨てた訳じゃなくて、距離を置きたかったの。
嫌いだった訳でもない。
あの高校教師…黒田先生のことは、大好きでした」
「あの先生のせいか?」
「…痛くて…」
「えっ?」
「痛くて辛かったんです…。
でも、言えなくて…」
「えっ?」
「キス、乱暴で、気持ち良くなくて…。
いつも唇がひりひり腫れてるみたいで痛かったの。
最初に私が誘惑したんだと思うから、
その点は申し訳ありませんでした。
でも…私の初めては…
あれは酷かったですよね?
あれ、犯罪ですからね」
「ごめん。
どうしても自分のモノにしたくて。
経験もなくて、余裕もなかったし。
全然、麻衣子ちゃんのこと、判ってなかったんだな。
これからやり直せるのかな?」
と私の両手を包み込んだ。
左手には、
岳人さんからの結婚指輪とダイヤモンドの婚約指輪が輝いている。
そして、右手の薬指には、
美しいインペリアルトパーズの杏のような柔らかい石の指輪と、
ブルートパーズの指輪を重ね付けしていた。
「この指輪は?」
「私、結婚してるんです」
「あの先生と?」
「いいえ。黒田先生はもう…亡くなりました。
こっちのインペリアルトパーズの指輪は、
黒田先生からのものです」
「そうだったんだ…」
「その後、同級生と結婚しました。
子供も3人いますよ」
「3人…
じゃあ…
僕とはもう、
やり直したりは…」
「ないです。
山本先生からの指輪、
あの後、捨てましたから」
「そうか…。
そうだよね?」
メール受信の音がその時鳴った。
「あ…。
ホテル、手配出来ましたので、
私、行きますね?
もう会うこともないでしょう?
さようなら」
「最後に…キスしても…」
「嫌です」
「あの…いつか、
何十年も経って、麻衣子ちゃんが独りになったら、
その時、また、僕とのこと、考えてくれないかな?」
「ごめんなさい。
考えられませんから」
「…判った。
本当に悪かった。
お幸せに!」
「私、とても幸せですよ?
じゃあ!」

