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第15章 社会復帰

「岳人、それはダメだよ？」

「えっ？」

「僕は麻衣子さんのお母様にもお会いしたけど、
とても大切に育ててきたのは良く判ったよ？
だから、きちんとご挨拶して、
結婚を申し込んでお許し頂いて…
ちゃんと順番通りにしないと。
フランスにいらっしゃるなら、
そこまで伺って…」

「あの…。
母は、岳人さんなら、
こちらから頭を下げて貰って頂きたいと申しておりました」と言うと、
お父様は嬉しそうに笑ってくださった。

更に、
「何なら早く結婚して子供もって笑ってました」


お父様は優雅に肩を竦めるような格好をすると、
「だったら尚更、
ご挨拶に行って、結納して結婚式して…。
大学はどうするのかな？」


「夏休みとかを利用して出産すれば、
休学しなくて済むんじゃないかと…。
子育て支援に日本に戻っても良いからって言ってました」と言うと、

「お母様は、本当に前向きで明るい方なんですね？
だから麻衣子さんも明るいんだな」と言う。


「岳人はどうなんだ？」


「僕は勿論、
麻衣子さんが大好きで結婚式したいけど、
まだ学生で甲斐性無しだから、
結婚や子育てする力はないと思ってる。
でも、麻衣子さんのしたいことを叶えたいし、
その為の努力はしたい。
麻衣子さんが今すぐ結婚したいなら、
僕、大学辞めて仕事をする…」


「そんなの、ダメよ？
一緒にドクターしたいもん。
離島でも、国境なき医師団でも良いから、
どんなとこでも行って人を助ける仕事しようって言ってたでしょ？」


「成程。
では、まずは、
麻衣子さんのお母様にご挨拶させて貰おう。
うちの親族にも…。
でも、妻は無理かな？
理解出来ないと思う。
2人が早く入籍したいなら、
勿論賛成するよ？
お祖母様達は結婚式もと言うと思うよ？
子供は…本当に子育てしながら医学部卒業までやっていけるのか、
卒業まで待ってからにするかは2人で良く考えなさい。
学生結婚は、麻衣子さんの方が負担になるからね？
卒業まで子供を作るのを待つなら、
身体に負担になりにくい安全なピルを処方するよ。
早く子供をって思うなら、
何月に産むのがベストか計算するのと、
育児を誰にサポートして貰うのかを考えること。
すぐに保育園にも預けられないし、
フランスからお母様お呼びだてするのも冷静に考えたら難しいだろう？」と、お父様からは淡々と言われた。