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トパーズ
第15章 社会復帰
何度か目が覚めてはキスをして、
微睡むように眠っていたら、
夏らしく早い時間から外が明るくなってきた。


山田くんは何度も何度も抱き締めてはキスをしてくれて、
幸せな気持ちしかない朝を迎えた。


ベッドの中で、
「ご飯も食べずに寝ちゃったね?」とクスクス笑って、

「父に電話するのも忘れてた」と言う山田くんにまたキスをする。


「痛くない?」と言われて、

「んー。
ちょっと違和感あるけど、
大丈夫!」と言うと、
心配して、
覗き込もうとするから、

「シャワー浴びて、
外に食べ物探しに行こう?
お腹、ペコペコ」と言うと、

「麻衣子さん、これまでご飯食べても反応なくて、
大丈夫かな?と思ってたから、
お腹空いてるのは嬉しいな」と笑う。


2人でシャワーを浴びながら、
そっと優しく洗って貰って、
私も同じように山田くんを洗って、
身体を拭いて貰うと、
新しい自分になったような気がした。


お父様に電話をするには早朝過ぎたので、
お散歩がてら家の周りを歩いて、
カフェも開いてない時間だったのでコンビニで買い物をして帰宅した。

トーストとコーヒーとヨーグルトで簡単な朝食にして、
防音ルームから私のギターを引っ張り出してきた。


「岳人さん、
私のこと、何度も泣かせたよね?」と言うと、
下を向いて紅い顔をする。


「なんか、一生懸命に弾くから、
こっちも一生懸命教えただけだけど…。
厳しかったかな?」

「うん。
泣くほど厳しかったよ?」

「才能あるなと思ったからね」

「もっと練習したら、
人前で弾けるようになれるかな?」

「練習量次第かな?」

「じゃあ、何か弾いて?」
と言うと、
調弦して、静かに弾き始めた。


『カーニバルの朝』だった。


ポルトガル語で静かに歌い始める。
カウンターに置いてあったシェイカーを取って、
振りながら歌って、
間奏中もハミングする。


「本当に失恋とか、哀しい歌ばかりね?」と笑った。

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