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トパーズ
第15章 社会復帰
「まずは、どこに行きたい?」と訊かれて、
「純一さんの家に行きたい」と答えた。


一度も行ったことのないマンションに2人で行った。

主人が居なくなって久しい部屋は、
空気がひっそりとしていた。

初めて入るその家は、
ファミリータイプの大きな高層マンションの一室だった。

3つの寝室のうち、
先生が使っていた部屋は、
シンプルそのものだった。
がっしりとしたデスクは片付いていて、
スタンドといくつかの小さな額が置いてあるだけで、
その額には2年生の文化祭の時に写真部の人が撮ってくれた私の写真や、4人の写真が入っていた。

それをそっと撫でると涙が溢れた。
額は持ち帰ることにした。


クローゼットなどは空っぽになっていた。
お母様がこの部屋の権利を私にと考えた時に、
変に色々なものが残っているとかえって辛い気持ちにさせてしまうだろうと言って、
ほぼ全ての物を処分されたそうだった。


家具付き物件として賃貸するかもしれないからと、
必要最低限で質の高い調度品だけ残してくださったそうで、
先生の部屋のデスクとベッドは残されていた。


妹さんの部屋は、
空っぽになっていて、
それがむしろ哀しくなってしまった。


主寝室も、
立派なベッドとサイドテーブルだけがポツンと置かれていた。


リビングダイニングには、
かなり立派なダイニングテーブル一揃えと、
イタリア製のソファやテーブル等が残されていた。


水廻りも含めて、
全てハウスクリーニングされているのも判った。


まるで住宅展示場みたいで、
生活感のない部屋に、
先生の長い不在を実感した。



「名義は麻衣子さんになってる。
売却しても、そのままでも、
賃貸しても良いって言ってたよ」


「すぐには考えられないけど…。
ここは来たこともなかったから、
純一さんとの思い出は感じられないみたい。
誰も居なくなった部屋の寂しさだけしか感じられない」と言って、
山田くんの手をギュッと握った。


「そうだね。
僕は同居させて貰う話をして貰って、
一度だけここに来たけど、
そのまま麻衣子さんの家に住み着いたから同じ気持ちだよ」と言いながら、抱き締めて背中を撫でてくれた。



「さて。
次は何処に行く?」


「ちょっと疲れちゃったから、
家に帰りたい」


「うん。そうしよう」と笑って、
手を繋いでくれた。
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