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Memory of Night 2
第50章 episode of 0
「市販のより美味しいです! ゼリーの固さとかも、ちょうどよくて好みです!」
本心だった。固めなのもいいし、コーヒーそのものを固めて作ったからか、香りがとても良いのだ。
ゼリーはほんのり甘かった。もともと少し甘みがあるものだったのだろうか。コーヒーにかけるフレッシュも、無くても美味しかった。
ーー自炊すらほぼしないのに、簡単なものとはいえ、自分のためにわざわざ作ってくれたのかと思うと、秋広はどうしようもなくふわふわした気持ちになった。
「ーーなら良かった」
ふいに桃華が微笑んだ。華のように、ふわっと。秋広は驚いて固まった。その瞬間、ゼリーがするりと気管の方に入ってしまう。
秋広は盛大にむせてしまった。
「……何してんの、じじくさ」
背をさすってくれたが、なかなか喉につっかえた小さなゼリーは取れず、秋広の顔は真っ赤になった。
桃華は別のコップに水を持ってきてくれる。
「すみませ……っ、けほ……」
水を流し込み、ようやくすっきりした。
呆れたような表情を向けてくる桃華から、秋広はそっと視線を逸らした。
ーー初めて見た桃華の笑みがあまりにも美しくて、とは、さすがに言えなかった。

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