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Memory of Night 2
第50章 episode of 0
「桃華さんち、ガス無いって」
「……ガスが無い?」
「契約してないのか……止められたのかわからないけど。ガス、使えないみたいで」
「へー、香椎さんが言ったのか?」
「うん、昨日事務所に来た時に」
秋広はかいつまんで昨日の夜桃華が来てしていたやり取りを話した。
「夏ならともかく、冬に水風呂はキツすぎんな……。払い忘れて止められただけじゃないのか?」
「……そういうニュアンスじゃない気がしたけど」
秋広は渋い顔でパソコンを見つめる。
一時的にガスが使えないだけなら、湯煎が必要なレトルト食品を置いていく必要はなかったはずだ。日持ちもするし。
そこではたと気付く。
「風呂もだし、料理もできないよね?」
「……できないだろうな」
「IHコンロとかどうかな。家に使ってないのがあるから、持っていこうかな」
桃華は使ってくれるだろうか。温かい風呂に入り、温かい食事をする。そんな当たり前のような生活を桃華にもしてほしい。
ふいに相澤が大きくため息をついた。
「別に、そんなことしなくていいんじゃねぇの? 香椎さんがどんな生活してたって、それは彼女がそうしたくてしてるんだろうから、口出す必要はないんだよ。……迷惑に思われる可能性だってあるぞ」
「あ、うん、そうだね」

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