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Memory of Night 2
第50章 episode of 0
ーーそれなのに、だ。
秋広は深く頭(こうべ)を垂れ、うなだれた。
自分は男らしくもしっかりした大人にもなれず、代わりに前科持ちになるのだ。
今日一日ぼんやり過ごしてしまったが、警察はいつ来るのだろう。
仕事に身が入らないまま、一日が過ぎていった。
夜の六時をまわった頃だった。
ドアの外から足音が響き、突然ノックが聞こえた。
そろそろ帰ろうとしていた時間だ。秋広の就業時間は規定上は朝八時から午後五時までだが、暗くなるまで事務所に残っていることが多かった。夏はもう少し遅くまで。
それは現場で何かあった時に、事務所に連絡が来る場合があるからだ。本来秋広に報告や相談がある場合は、夕方の四時までに連絡をくれるようお願いしている。だがそれができない状況もあるだろう。
本来の就業時間より事務所を長く開けていることは、秋広が自主的にそうしているだけで、やれと言われているわけではない。
電話ならまだしも、こんな遅くに訪ねてくるのは珍しい。誰だろうか。
「はい、どうぞ」
首をわずかにかしげながらも、ドアに向かって応える。
ドアが開いた。入ってきた人物を見て、秋広は小さな目をまんまるにしてしまった。

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