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Memory of Night 2
第47章 春の訪れ

 最寄り駅に着く前に、スーパーで花と線香を買った。
 やがて無人駅に着き、そこからはまっすぐ進んでいくだけ。もう宵の案内も、ほとんど必要なかった。

「ーーこの上に墓がある。車、その辺に適当に停めて平気だよ、こんなところ誰も通らないだろうし」
「本当に山なんだな」

 塗装もされていないような道だった。
 古い民家がぽつぽつとあるだけで、周囲には木や草しかない。

「土方さんの別荘があったとこと大差ないな」
「あー、まあ雪は降らねーけど、似たようなもんかも。家あるけどな」
「……あそこの家とか人住んでんの?」
「知らね。あ、苔(こけ)とか生えてるから滑んなよ」

 千鶴の服装を見て、宵は少し心配になった。高いヒールのサンダルと、長いレースがあしらわれたロングスカートだったからだ。

「平気だよ」

 だが千鶴は気にした様子もなく、スカートをばっと捲り、腹の右側の辺りで無造作に縛ってしまった。太ももから下が丸見えになる。
 角度によっては下着まで見えてしまうのでは、と宵は呆れる。確かに登りやすそうではあるが、さすがに周りの目を少しは気にしろ、と思わずにはいられない。
 宵が先を行く形で、墓に向かって歩き始めた。

「……傷、まだ痛む?」
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