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Memory of Night 2
第16章 恋と魚突き

「マジで? すげーじゃん!」
潜り始めて何分くらい経つか。まったくの初心者で素潜り用の道具も揃っていない中、自力で魚を捕るのはすごい。
宵が拍手を送る隣で、大山がバケツを取って海から上がってくる明に差し出す。潮干狩り用に持ってきたものらしい。
海水で満たし、捕った魚をバケツに入れると、まだいっそう激しく暴れだした。
「なんの魚?」
宵が問う。
「えー、わかんない」
明と大山は揃って首をかしげていた。
「これは、カンパチだね」
答えたのは晃だった。
晃も海から上がり、バケツの中を覗きこむ。
「冷やさないと茹で上がりそうだな」
「クーラーボックスがあるといいんだけどね」
大山の言葉に晃が答える。
あいにく、持ってきた遊び道具達の中にはなかった。
「あ、この近くに釣具屋さんがあるから、そこで買う? クーラーボックスも多分あると思う」
「そうすっか。こっからすぐなんだろ? 買ってくるよ」
明の提案に、宵も頷き買い出し役を名乗りでた。
「いや、俺行ってくるよ。実は、あんまり泳ぎ得意じゃないんだ。俺の分の晩飯頼んだ」
と大山。
「あ、じゃああたしも一緒に……」
「明ちゃんはとりあえず少し休みな。たくさん泳いで疲れたでしょう? 野郎が三人もいるんだから、買い出しくらい任せちゃえばいいんだよ。はい、お茶」

