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Memory of Night 2
第16章 恋と魚突き

大山の言葉通り、もうすぐ卒業だ。みんなそれぞれ、違う道に進んでいく。
大山も、明も、他のクラスメイト達もーーそして晃も。
(そういえばあいつどこ行く気だろ)
結局聞いていない。毎日一緒に居る生活に慣れてしまったのと、なんだかんだで最近の晃は忙しそうだった。予備校はもちろん、家に居るときは隙があれば参考書を開いている気がする。
それに、人のことを気にする前に、自分の進路を決めなければ。模試受けろだの奨学金に申し込めだの、担任からも声がかかっていた。
進学にだいぶ気持ちは傾きつつあるが、まだどこか迷いはあるし、ひとくくりに進学といっても一体どこに進めばいいのか。自分の将来にも現実味があまり無い、宙ぶらりんな感覚が続く。
「……めんどくせー」
「そんなあからさまに嫌そうな顔しなくたっていいだろ」
「え? ああ、そっちの話じゃねーって」
落ち込む大山に、そう訂正した時だった。
海面から大きく水しぶきが上がり、明が顔を出す。大きく息を弾ませながら竹ヤスを掲げ、叫んだ。
「見て見て! 獲れたー!」
三つに別れた竹ヤスの真ん中の先端に、手のひらより少しサイズの大きい魚がいた。銀色のそれは腹を串刺しにされ、ピチピチと跳ねている。

