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第1章 生け贄企業

「あんたの義弟のせいよ!!あんたの義弟のせいで、ショッケンの従業員さんたちの夢と希望がズタズタに壊れたのよ!!あんたの義弟が従業員さんたちを殺したのよ!!」
「ちょっと待ってください!!うちの義弟がテロ事件を起こしたと言うショウコはなんなのですか!!」
「ショウコもへったくれもないわよ!!あんたね!!お向かいの岡倉さんの長男さんは、きょうのバーベキューパーティーで銀行のＯＬさんと会えるのを楽しみにしていたのよ!!おとなりの三ツ藤さん方の息子さんは、社内恋愛で知り合った女性従業員さんと５月の母の日に挙式披露宴を挙げて親孝行したいと意気込んでいたのよ!!ここにいる男の子は、福角さん方の息子さん夫婦の長男よ!!社内恋愛で知り合って結婚して、一姫二太郎サンサンシで…来年(長女)ちゃんが小学校に入学するのよ…３月に男の子の赤ちゃんが生まれたばかりなのよ!!息子さん夫婦と(長女)ちゃんと赤ちゃんが生き埋めになったのよ!!どうしてくれるのよ!!」
「帰ってください!!うちにいいがかりをつけてくるなんてあんまりだわ!!」
「ンマー!!なんなのかしら一体もう!!ここの家のオシュウトメさんはどこのどこまでナマケモノかしらね!!シュウトメもシュウトメなら嫁も嫁…サイアクだわもう…」

奥さまは、こう言うたあと泣きじゃくっている４歳の男の子を置き去りにして帰ってしまった。

「奥さま!!奥さま!!」
「えーんえーんえーんえーん…おかーさんに会いたい…おとーさんに会いたい…えーんえーん…」

どうしよう…

どしたらいいのよ…

臨子は、頭を抱えてその場に座り込んだ。

事件発生から約240時間に渡って、事件現場の国道と周辺の道路が通行止めになった。

その間、現場検証と事故車両の撤去などが行われた。

完全に道路が通行できるようになったのは、事件発生から22日後の５月22日頃であった。