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戦場に響く鈴の音
第29章 使者



状況が読めず、震えるだけの孩里とは違い木野という老兵は俺に対する怒りを抑えながら冷静を保つ。


「朧を明け渡せだと?そもそも蘇は支羅を占領した悪国。暁まで侵略した上に朧までとは神国の帝も黙ってはいますまい。」


これ以上の狼藉は神の逆鱗に触れると言いたいらしい。


「俺は笹川の娘婿…。これは侵略でなく正当な領地分配…。笹川の当主、孩里の名の元で行なわれる領地没収には神国だろうと口出しは出来ない。」


俺が朧を貰い受ける事は当主が認めた事だと匂わせれば


「孩里様っ!」


と木野が孩里を責める口調へ変わる。


「ぼ…僕は…。」


狼狽えるだけの孩里に木野がますます険しい表情へと変わってく。


「そういう事だ。即刻、朧を明け渡せ…。さもなくば笹川当主への謀叛と見なし、朧を攻め落とす事となる。此度の俺の副将は羽多野の佐京…。ただでは済まぬ覚悟をせよ。」


開戦の布告は済んだ。

佐京の名に木野が一瞬だけ目を見開き驚きを見せる。


「蘇の狂戦士が…。」


佐京の名は由でも有名だ。

支羅で李の兵を300人以上、一人で倒した漢…。

但し、佐京は誰の命令だろうと従わない事でも有名である以上、それを俺が連れて乗り込んで来たとなれば朧の透里にはそれなりの覚悟が必要だとわからせる。

民の為に大人しく朧を引き渡すか…。

引き渡しを拒み、佐京に民である兵を惨殺されるか…。

戦経験の多い木野が歯ぎしりをする。

老いてなくば、この場で孩里と俺を切ってでも朧を守りたいという木野の強い意思が殺気を放つ。

それに対し、護衛として控えていたこちら側の兵が孩里の前に立ち刀を構えて木野を牽制する。


「覚えておくが良い…、西元の鬼…、何でも己が思い通りになると付け上がるな…。」


木野が俺に警告を残して立ち去る。


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