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戦場に響く鈴の音
第29章 使者



「朧よりの使者…、お連れ致しました。」


兵がそう告げれば、甲冑に身を包む老人兵が俺と孩里が待つ天幕へと入って来る。


「孩里様…、お久しぶりでございます。」


老人兵は恭しく孩里の前へ跪く。


「木野(この)の業平(なりひら)か?久しいの?透里の叔父上はお元気か?」


無邪気な孩里が木野と呼ばれた老人兵に笑顔で話し掛ける。

だが、木野は孩里に哀れみと憎しみの視線を向ける。


「此度のこの軍勢での進撃…、一体、何のおつもりですか?お答え頂きたい。孩里様…。」


建前上は孩里を当主として扱っているが、孩里の馬鹿さ加減に今にも腸が煮えくり返りそうだと木野は眉間に皺を寄せる。


「答えは俺が答えてやる。」


孩里の代わりに俺が口を挟めば


「蘇の拾われっ子…、西元の鬼…。貴方が孩里様を唆した事はわかっておる。孩里様…、即刻、兵を引かれよ。さすれば、此度の事は見逃してやると透里様からの伝言であります。」


と木野は自分の要件だけを押し通そうとする。


「木野…、誤解があるようじゃ。黒崎の義兄上様は僕を助けに来たのだ。別に叔父上と戦をするつもりは…。」


これ以上、馬鹿殿様に喋らせたら全てが水の泡だ。


「孩里、俺は黙ってろと言ったはずだ。」

「しかし、義兄上様っ!」

「黙らねば切る。そこの木野の言う通り、俺は朧を攻めに来た。大人しく透里が明け渡せば、それで良し…。渡さぬなら無理矢理にでも奪い取る覚悟だ。」

「義兄…上…。」

「孩里には暁でも言ったはずだ。お前を殺してから透里を攻める事も俺には出来る。それを敢えて我慢をしてやってる状況だ。木野とやら、余計な血を流したくなければ朧の引き渡しを急げ…。」


完全に沈黙した孩里では話にならないと木野は怒りの視線を俺の方へと向けて来る。


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