この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
戦場に響く鈴の音
第29章 使者



天幕の外へ出れば、外で待っていた佐京が俺を見る。


「あの老兵…、切っても良いか?」


わざと木野に聞こえるように言いやがる。


「棺桶間近の兵を切るな。」

「けど、あの様子じゃ朧を譲ってはくれなさそうじゃん。俺は夢物語に付き合いはしない。」

「後1週間は待つ約束だ。状況に応じては朧城内で好きなだけ暴れても良い…。」


鬱陶しい垂れ目が嫌味たっぷりに流し目を俺に向ける。


「待ち遠しいねー…、血みどろの地に夢の城を建てる殿に仕える日が来るのが…。」


無血開城など手緩いと佐京が俺に説教を垂れる。

佐京が言うように、このやり方は夢物語なのかと悩みたくなる。

大河様が魔王と呼ばれた原因が佐京だとわかっている。

敢えて、その佐京を連れて来た。

佐京でなければ朧を取る事も維持する事も難しい。

无との国境…。

状況の変化を待つしかない。

案の定、朧は籠城の構えを見せ、城壁の上や見晴台には弓を構える兵が目に付くようになる。

佐京は退屈だからと一人で勝手に本陣を抜け出しては、城壁の兵に矢や槍を打ち込んで威圧で朧を揺さぶる。


「良いのですか?」


雪南が俺を責める。

流血は避けたいが多少の犠牲はやむを得ない。


「佐京は必要だ。」


それだけを言うと雪南は口を閉じるが、与一は納得などしない。


「兄ちゃんが民は傷付けないと言ったくせに…。」


与一の言葉に構う気はない。

戦は綺麗事では出来ない。

だが俺が何も言わずとも鈴と多栄が二人掛りで与一を叱る。


「与一は既に蘇の兵だ。蘇の兵の飯を食い、蘇の人間に家族を守って貰っている。そもそも城主がすんなりと朧を明け渡せば由の兵は傷付かずに済んだのだ。強情を張って被害を増やしているのは由の朧の城主の方だ。」


叱られた与一は犬のように大人しくなる。


/539ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ