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お嬢様は幽霊執事にお困りのようです
第1章 1
 まず、背後に車がない。送り迎えなんだとしたら、車がないのは絶対に可笑しいし、執事がうちに居ないから分からないんだけど、春とはいえ気温は高い。

 そんな中汗ひとつ拭わず、平然と暑そうな格好で立ってられると流石に困惑する。大体この人、髪の毛も長いし――。いや、長い。というか、長すぎる。腰くらいまであるじゃん。

 ――暑くないんだろうか? いや、絶対に暑いだろう。

 暑さとか感じない人なのかな......それとも、ちょっと変な人なのかな......。

 でも人を待ってる。となると、目的は同じな訳で、人の邪魔にならない場所を選ぶ。ってなると当然、彼の近くに行くことになってしまう。

 まぁ......世間話とかは......しなくていいでしょ。向こうから声でもかけられない限り。と、思い近付いたその時。

「――え?」

 どこかで嗅いだことのある香りがした。
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