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ひと夏の恋……そして……
第6章 忘れられない夏

「何を描いているんですか?」

お昼の休憩中に浜辺に出てみると、海辺に座って絵を描いている和泉さんを見つけて声をかけた。

「真緒ちゃんか。あまりにも海の蒼がきれいだったからつい描きたくなってね。真緒ちゃんは休憩時間かな?」

「はい。やっと人が引いて休憩もらいました」

そう答えながら和泉さんの目線を追えば、青い海と青い空が広がり、その中に真夏特有の入道雲の白が浮かび上がっていた。
3年もの間見ていると当たり前になっている風景でも、初めて来た人には素晴らしい景色に見える。
私がこの島に来た時も同じように感動していた事を思い出す。

「いいですよね。開放的というか、時間がのんびり進んでいて癒されて生きてるんだって感じます」

思っていたことを言葉にすると驚いた顔を私に向けた。
何か変なことを言ったのかと首を傾げると、和泉さんは笑いながら隣に座るように私の腕を引っ張られ座った。


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