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ひと夏の恋……そして……
第6章 忘れられない夏

「真緒ちゃんって僕たちより若いよね。それなのに生きてるって、どれだけ毎日過酷なの?」
「過酷って?」
言っている意味が分からず聞き返せば、少し寂しそうに表情を曇らせた。
「癒されるって事は癒されたい何かがあるんだよね。アルバイトがきついのか、それとも何かから逃げてるのか……」
「夏樹に、何か聞きました?」
「いや何も聞いていないよ。ただ、夏の間だけ叔母さんの家に来てるってだけ」
和泉さんの言葉にドキッとして聞き返せば、夏樹が何かを言ったわけではなさそうだった。
なのに私が逃げてきたことを知っていることに驚きを隠せない私を見て僕も同じだからと言葉を続けた。
「僕も現実から逃げてきた口だからこの風景に癒されるんだ。自分の悩みがちっぽけな気がしてさ。ここでリフレッシュできたら戻ってからも頑張れる気がして……真緒ちゃんもそうかなって思っただけ」

