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ひと夏の恋……そして……
第6章 忘れられない夏

「仕事中だったら俺らの相手してよ。お姉さんがサービスしてくれたらもっと頼んじゃうよ」
席を離れようとする私の手を引いて、無理やり男の膝の上に座らされた。
男の口からはアルコールの嫌な臭いしかしなくて顔を背けて立ち上がろうとしても、腰に回った腕が邪魔して立ち上がれなかった。
「真緒!!いつまでさぼってるの!まじめに働いてちょうだい」
厨房の中から叔母さんの不機嫌な声が響き渡り、店内が静まり返った。
「ごめんなさい。仕事しないと怒られるから」
そう口にすれば、男はあっさりと手を放して解放してくれた。
「お姉さんも大変だ。あんな鬼ババアにこき使われて」
逆に私の方が宥められる始末。
あんな大きな声で怒鳴られればそう思っても仕方がない。
だけどこれは私を助けてくれるやり方で、それを知っている常連さん達はクスクスと笑って見守ってくれていた。
「真緒、今日はあがっていいよ。質が悪そうだからね」
厨房に戻れば叔母さんはにっこりと笑ってバイトの終了を宣言する。

