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ひと夏の恋……そして……
第6章 忘れられない夏

「うん。突然にごめんね。でも夏樹しか頼る人がいなくて……」

「分かってるって。で?どうしたんだ?」

夏樹の優しい物言いに、和泉さんは申し訳なさそうにやっと口を開いた。

「当分の間、ここに泊めてほしいんだ」

「泊めて?」

「うん。家出てきちゃった」

和泉さんは舌をぺろりと出して笑った。
その言葉に、はぁ?と思いっきりあきれる夏樹に和泉さんはごめんねと言葉にする。

「家出てきたって、一人暮らしじゃなかったか?」

「そうなんだけどね。実家からいろいろ言われて面倒になってね。大学最後の夏休みぐらい好きにさせろって啖呵切って出てきちゃった。夏樹の住んでる島にも来たかったら勢いで来ちゃった」

男性なのに両手を合わせてお願いする仕草が可愛く見える。
夏樹は仕方がないなぁと嫌そうに言葉にしながら、でも実際はうれしそうに頬が緩んでいた。


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