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もうLOVEっ!ハニー!
第23章 望まぬ招待状

 気づくとハッ、ハッと息が上がっていた。
 これ以上この部屋の香りを肺に入れてはいけない気がするのに。
 でも、どうしてもこの机の中は見ないといけないと掻き立てられた。ベッドの上の幻影が「なにをしてるんだ。服を脱げよ」とにやついているのが心臓を舐めてくる。
 うるさい、と唇を動かして奮い立たせる。
 椅子をずらして一歩近づくと、ノートの束の下に煙草の箱が潰されているのが見える。フラッシュバックのように屋上で煙草を咥えさせられたのが蘇る。心底嬉しそうに見つめた両目が。
 いつも一人で灰を煙で満たして、あれほど暗い支配欲を抱え込んで、どうやって生きてたんだろう。親友を裏切り、彼女を裏切り、存在を刻みつけるように蛮行を繰り返して……
 執着心が強く身勝手な姉とお似合いだったのに、なんで逃げ出したんだろう。
ー君が…君が唯一の救いだったんだー
 吞まれそうな記憶の低い声の渦に首を振る。
 どれほどの苦しみにいたとしても関係ない。
 あの人がしたのは許されない行為だった。
 怒りで小刻みになる息を押し出すように吐く。呼び戻した焦点を引き出しに向ける。流石に写真を印刷したりはしていないはずだけど、もしそれが出てきたらと思うと指が震えた。
 軋む音と共に開いたそこには、筆箱と、単語帳と、ガムやタブレットが無造作に散らばっていた。アルバムや写真らしきものはないので肩が脱力した。
 ほかの引き出しも一つずつ確認する。開けるたびにふわりと鼻孔をくすぐる臭いに心臓が警戒音を鳴らし続けている。大丈夫、その主はいない。
 一番下の重い引き出しは何かファイルが引っ掛かっているようで開けるのに苦労したが、紙の束の中にも怪しいものは見当たらなかった。
 最後に机の上の棚の小さな扉を開いてみる。
 かこん、と小気味よい音と共に開いた中には、使っていない水筒や弁当箱、一度しか読んでなさそうな文庫本が並んでいた。そして、その本の合間に不自然な隙間があった。なんとなく指を差し込んでみると、錠剤の入った小さな透明の袋が挟まれていた。
 何かよからぬ予感がして、元に戻そうと思ったけれど、先に焦点がびたりと合って錠剤に書かれたアルファベットが焼き付いてしまった。
 それはどう見ても、薬局で処方される類のものではなかった。
「なに……これ」
 あまりにカラフルなそれは一見ラムネのようだった。
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