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もうLOVEっ!ハニー!
第23章 望まぬ招待状

 カレンダーが青色で示すその朝は、雪でも降りそうな鈍い色の空から始まった。隆人は玄関を掃きながら、ガソリンは入れてあったかなと記憶をたどった。
 岳斗は黒いセーターを目の前に掲げて、流石に戦闘服過ぎるかと自嘲気味に苦く笑った。
 亜季は寝ころんだまま空を見上げて、なんで天気が悪いんだよと顔をしかめた。
 ルカは腕立て伏せをしながら、ラジオから流れるクラシックに目を閉じて浸っていた。
 かんなは、珍しくアラームよりも前に目が覚めたことに驚きつつ、妙に冴えた思考で、突拍子もなく部屋を出て階段を上った。

 とん、とん。
 朝の冷たい冷気が上から下に流れてくるようで、まるで向かい風の中を進むように階段を上がります。
 岳斗さんは早く起こすと悪いからと言って昨夜は一緒に寝ませんでした。結局早起きしちゃったわけですけど。
 つばるに肩を掴まれた踊り場まで来て、自分がどこに向かおうとしているのに気づき、急に重くなった足をそのまま下ろした。
 だって、今日は、あの最悪な存在を頼りになる二人が遠ざけてくれる日だから。
 これはそう、儀式みたいなものです。
 三階まで登り切った両足は、何度も呼び出された部屋の前で止まった。爪先から視点がドアに這い上り、悪い映像を何度もリピートする脳内に思考が霞みがかる。
 どうしてここに来たの。
 ここに来るたびに私の声が私を説教する。
 来てはいけないのだと、小学生の頃の自分が懇願する。
 意識の外で、右手がドアノブをひねった。

 あの日以降、誰も入っていないであろうその部屋は、鍵を閉ざしていなかった。

 時が止まった空気が廊下に漏れ出す。
 朝日が差し込むその部屋に、よく来たねと暗く嗤う影が見えた。瞬きで消えたその影は、ベッドの上で今もニヤニヤと待っているように思えた。
 そっと足を踏み出して、音をたてぬように扉を閉めると、かすかに煙草の香りが残る部屋の奥に意識が向く。
 きっと今日の話し合い後に荷物が引き払われて、正規寮に運ばれる。それまでのたった十数時間だけ存在が許されているこの空間を、確認しに来たのだ。
 乱暴に倒された床を過ぎて、乱れたままのベッドを横目に机に近づく。教材が雑に並び、ノートの山が積まれ、通学カバンからは赤本が飛び出している。
 受験。
 ああ、知りたくなかった。
 あの人の将来を決める大きな試験がどうなるのか。
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