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もうLOVEっ!ハニー!
第22章 三角の終焉
「おれはルカが好き。付き合ってほしいと思う」
意外に考えてきた言葉通りに唇から発することが出来た。
相変わらず声は震えていたけど、逃げずに達成した。
こんな小さなことで自分を褒めないといけないほどゴールは小さかった。付き合えるなんて本能で全く信じていなかった。
それでも前に進むために、己の恋心を終わらせに来た。
ルカの笑顔は崩れなかった。
予感していたのだろう。
ああ、頬に触れてみたかった。その瞳を自分で埋めてみたかった。
ルカは強くて、美しくて、聡明で、可愛かった。
自分などが手を伸ばして手に入る存在じゃないと、気持ちを口にすることを何度も諦めて夢の目覚めは最悪だった。
もし目の前で誰かと付き合ってしまったら自分が壊れてしまうんじゃないかと、アンナの存在だけでとどまってくれと願っていた。
涙の余波が脳を焼く。部屋まで我慢だ。
彼女の唇が形を変えてゆっくりと開いていく。
「亜季。土曜日デートしましょうか」
右手と右足を一緒に出すようなぎこちない動きで帰ってきた同居人に、奈己は触りと胸が騒ぐのを深呼吸で抑え込んだ。
空虚で染まると思っていた両目は緊張と喜びに揺れていた。
まさか、ルカが受け入れるなんて思っていなかった。
「奈己! おれ、ルカとデートすることになった」
理性を焦がすほど熱い口づけをした唇が、許しがたい事実を吐き出した。
「それから返事をするって」
卑怯な女だ。
返事の先送り、いやそれだけじゃない。
きっと亜季に地獄を見せるのだ。
自分の芯が刺さった世界を垣間見せて、あなたの入るスキはないと完膚なきまでに希望を潰すつもりなのだ。
そうであってくれないと、困る。
「よかったね」
そうでないと、困る。
浮足立った細い体が部屋を飛び跳ねる。
どこに行こう、何をしよう、と少女のように。
けれどその浮かれた脳裏にもきっと冷たい予感はあるだろう。宙を舞った両手が重力に負けるように腿の隣に戻ってくる。
「最後に、いい思い出作らないとね」
ほら、僕の最愛の人はいつも、なんて可哀そう。
どうしてその場で刺し殺してやらなかったのか。
いや、因果応報か。
亜季。
僕は悪い人間だな。
僕の好意を真っ向から受け止めずに同居を続けてきた甘いキミに、少し清々してしまっている。
最悪の一日が終わったら、優しく迎えよう。

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