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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第2章  〝岬〟 


「……?」

 当然ながら送り主は均くんだけど、どうして今、わざわざメッセージを送っているのだろう。言われなくても、ドアを開けようとしていたところだ。

 もしかしたら、対人恐怖症のわたしに気を使ってくれているのかもしれない。やや疑問に思いながら、ドアチェーンを外すと言われた通り鍵を開けた。

 カチャという音で、ドア一枚を隔てた均くんにも、それはわかったはず。なのに、ドアを開くよりも先に、またしてもスマホが鳴る。


【ドアに背を向けて、立って】


 それを受け、こちらもメッセージで応じる。


〖どうして、メッセージで?〗

【いいから。僕の言った通りにするんだ】


 わたしは少し戸惑いながらも、それに従い、玄関に背を向けて立った。そして、それを再度メッセージで伝える。


〖立ちました〗


 それから数秒後、わたしの背後でドアはゆっくりと開かれていた。そして――

「きゃっ!」

 急に背中から抱き着かれて、思わす声を漏らす。

「静かに、そのまま動かないで」

 耳元でささやかれた声は、冷静そのもの。それが均くんの言葉でも、コンビニの時と声音が違うと認識し、わたしは息を呑んだ。

「……」

 そして、次に。

 え……?

 黒い布のようなものが瞬時に目元を覆い、わたしの視界は閉ざされてしまうのだった。

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