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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第2章 〝岬〟

なにか彼の気に障ることでも言っただろうか。思い返してみる。
もしかして、美里さんに恋人同士かと聞かれて、即座に否定したのがいけない――? まさか。わたしはそういった自意識を、なによりも嫌悪している。
頭をひとつポンと叩き、自分に言い聞かせるように呟いた。
「黙って待ちなさい。きてくれるって、いってるんだから」
そう、メッセージは確かにそれを告げている。この部屋に引きこもって以来、誰かを待った経験なんてないから気持ちが焦っているのだろう。
そして、この部屋で均くんと二人きりになることを思えばドキドキが止まない。
「!」
また足音がして、それが部屋の前で止まり、インターホンが鳴った。
たとえばなにかの勧誘だったり、普段この部屋を訪れる人の時であれば、頭から毛布を被る場面である。そうして、人が去るまでじっと息をひそめるのだ。
でも今日は打って変わって、いそいそとドアの前に急ぐと、期待に胸をふくらませながらドアスコープを覗き込む。
あっ……!
その姿が〝待ち人〟であることに心底歓喜し、ドアを開けようとした時だった。手にしていたスマホが、メッセージの着信を告げた。
【鍵を開けて】
「……?」

