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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第2章 〝岬〟

「……」
美里さんの後姿をなにげなく見送っている、わたしと均くんの間になんとも言えない、微妙な空気が流れていた。
それを少しだけ気まずく思い、なにか言わなければと思っていると、先に口を開いたのは均くんの方だった。
「岬ちゃんは……さ。僕のこと……を」
「?」
話しかけたきり進まない言葉に、わたしは小さく首を傾げた。
言いあぐねた彼の胸の内を、わたしは見ようともせずに。だから能天気に、こんな風に言うのだ。
「メッセージください。あの……今度はわたしも、頑張りますから」
「頑張る……?」
「い、いえっ……と、とにかく」
わたしは思わず均くんの手を握って、最後に告げる。
「また、いつでも……部屋で待ってますから」
精一杯の笑顔を向けたのは、また均くんにきてほしいという想いの表れ。
それに対し、均くんは――
「いいのかな……本当に?」
少し素っ気なく手を振り払うようにして、コンビニの仕事に戻っていくのだった。

