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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第2章 〝岬〟

すると、きょとんとしていた女が突如として笑った。
「アハハハハ!」
そんな彼女は実に楽し気で、あまりにも屈託のないものだから、わたしは逆に勢いを削がれてしまう。
「ね、ねえ……聞いてもいいかな?」
「は?」
「なんで、顔を隠すの?」
「なんで……って?」
「だって、そんなに可愛いのに、もったいないって思うじゃない」
その質問に、どう答えるべきか悩んでいた時だ。
「あれ? 岬ちゃんと……美里さん?」
大声で言い合ったことで、気づかれたようだ。均くんは道路を渡ってこちらに近づくと、とても不思議そうに二人の顔を見比べていた。
「彼女、キミに用事があるって」
均くんに「美里さん」と呼ばれていた彼女は、均くんにそう告げると自分はさっさとコンビニの中に入っていく。
するとその後は、わたしと均くんが二人きりで取り残された格好。自分から会いにきたくせして、身体が硬直して視線すら合わせられない。
「えっと……今日も買い物?」
そう聞かれ、とりあえず首を横に振った。
「じゃあ、僕に用事って?」
わたしは俯いたまま胸を押さえ、ゆっくりと呼吸を整える。それから――
「あの後、メッセージがなかったから……不安になってしまいました」
ぽつりと、言った。

