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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第2章 〝岬〟

わたしが彼の彼女になろうなんて、この先も思うことはない。そんな可能性があるはずもなく、この性がいずれ均くんの重荷になることは目に見えていた。
だったらほんの一時、快楽の相手で十分。せめて、気のすむまで。それなら、彼の相手は〝自分〟でない方がいいかもしれない。
やはり彼の前にいる限り〝岬〟であればいいのだ。
それにしても、均くんがあんな風に手馴れていたのは少し意外に思う。でも、あれは明らかに普段の彼ではないから、そんな点にも深い興味を引かれていた。
彼の胸の奥にある、全てをさらけ出してほしい。それがどんなものでも、可能な限り受け入れてみよう。傷跡にさえ、触れられない限りは……。
シャワーを浴びた後、短い睡眠を取った。昼前に起きるとコンビニで買ってきた食料を口にして、いつものようにパソコンをネットに繋げる。
普段は部屋に居る莫大な時間を、そうして無限のネットワークの中に捨てることに終始している。なにかを調べる目的もなく、誰とも繋がることもなく、楽し気な動画に笑みを浮かべることもない。単なる、徘徊。
「……」
パソコンの画面を見つめながら、不意にわたしが気にかけていたのはスマホの方だ。今朝、部屋に来る前のやり取りをして以来、均くんからのメッセージはない。

