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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第2章  〝岬〟 


「んっ、んっ……はああっ!」

 中指を中心にするように、くぼみの辺りを滑らせた。お湯とは明らかに違う液体が、その表面をコーティングするようにヌルヌルと滑る。

「だめ……」

 腰が砕けて立っていられなくなりそう。その予感を前に、左手を止めると目を開いた。身体はどんどんと火照っているのに、乳首だけは冷気に晒されたように、ぴんと起立している。

 また、均くんの声がした。

『いやらしい乳首も、触ってほしいのかい?』

 答えられずに見つめた。彼の指先が敏感になった乳首を弄ぼうとする、その直前で。

『やっぱり、よそう』

「……」

 思い返し焦れて、お腹の底から新たな興奮が沸き上がってくる。

 あのまま、均くんの手で触れられていたら、わたしの中にどんな想いが訪れていたことだろう。刺激としてはバイブレーションの方が強くても、彼の指で直接つままれて――強く、弱く――転がされ、そのときの顔を一心に見つめられたとしたら……。

 想像しても追いつかずに、自ら乳首に触れる。やはり想像に届かないとわかり、虚しさの中になけなしの興奮を探し、強く摘まみ上げた。

「くっ……!」

 目を閉ざし、均くんの顔を思い浮かべる。精神的な作用でふくれあがる快感を夢想し、また背筋に電気のようなものがはしった。

 身体はそのようなものを、それ以上のものを、期待しているかのようだった。

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