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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第7章  タモツ 


    ◆    ◆


 いつかのように、フローリングに敷かれたラグマットの上に座っている。岬ちゃんは、とりあえず僕を咎めることはしてないけど、当然ながら歓迎した様子もない。

 ベッドの上で両ひざを抱えるように座ると、壁に背をもたれるようにして俯いている。垂れ下がった髪が、僕の存在を遮断するようだった。

 でも少なくとも部屋に入れてくれたのは「お母さんに会った」という部分を無視できないからのはず。僕は暫く、彼女が話し出すのを待った。

 すると、程なくして。

「あの人に、なにを言われたんですか?」

 その呼び方以上に、棘のある言い方だった。

「さっきも言ったけど、キミのことお願いって……」

「他には?」

「具体的には、あんまり。ただ、自分には心を開かないだろう、みたいなことを」

「ふっふ」

「岬ちゃん?」

 漏らした声に、笑ったのではないかと不思議に思う。だけど、岬ちゃんはまだ伏せたままの顔をみせてくれない。

「結局、母親とか父親とかいいながら――あの人たちにあるのは、せいぜい罪悪感とか責任とか、それだけなんですね。均くんも話してわかったんじゃないですか?」

「え?」

「わたしのことを、厄介としか思ってないって」

「……」

 少なくとも間を開けず「そんなことはない」とは、言えなかった。

「まあ、あの人の話はいいですが……」

 そう言いながら、岬ちゃんはようやく顔を上げた。

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