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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第7章  タモツ 


「均くんは、なにをやってるんですか?」

 鋭い視線に、思わず怯んだけど。

「ア、アパートの前で、偶然にお母さんと会って――」

「ですから、あの人の話はもういいんです!」

 続けて叱るように言われた時に、ここにくる前の熱い気持ちが呼び覚まされていた。

「岬ちゃん。だったら、いっそ――僕と一緒に住まないか」

 そう言おうと考えて口に出した言葉ではなかった。母親に会って僕なりに感じていたこと。今しがた岬ちゃんが言っていたこと。加賀見が探していること。

 前から抱いていた、岬ちゃんを支えたい、必要とされたいというような気持が合わさり、自然とその言葉になった。

「は……な、なにを?」

「この部屋を出よう。どこでもいいから、誰もしらない新しい場所を探して、そこで一緒に暮らそう」

「わけがわからない……突然、やってきて……一体、なにを言ってるんですか?」

 焦点を失ったような瞳から、涙がぽろぽろとこぼれていた。僕はその反応を信じる。

「僕もキミも、結局は親の世話になってるから、自分を蔑んでしまう。余計に苦しんでしまう。だったらいっそ、全部振り切ってしまえば――」

「勝手に決めつけないで! この部屋を、わたしがどんな想いで勝ち取ったのか! しりもしないくせに!」

「じゃあ、全部話せよ!」

 僕はベッドに飛び乗ると、彼女の両肩を強く掴んだ。

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