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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第7章  タモツ 


 僕はドアの端を掴むと、強く開いた。

 そうして久しぶりに顔を合わせた岬ちゃんが顔をしかめたのは、太陽が眩しかったせいなのか、僕のことを不快に感じたせいなのか、それはまだわからなかった。

 とりあえず、顔を合わせることはできた。

「なっ、なんで?」

「いきなり、ごめん! でも、もう一度、僕の話を――」

「かっ、帰ってください!」

「待って!」

 強引に閉じようとするドアを、咄嗟にさせまいとする。互いに内と外でドアノブを引きながら、その攻防は続いた。

「岬ちゃん! お願い、話を――」

「しません! もう、来ないでって――」

「さっき、キミのお母さんに会ったんだ!」

「!」

「岬ちゃんのことお願いって、頼まれたっ――から?」

 急に向こうからの力がなくなり、僕は「わっ!」と声を上げ通路のコンクリートの上で、派手に尻もちをついた。

「イタタタ……」

 そう口にして腰を擦る僕の前には、完全にドアが開かれた部屋の前で、仁王立ちする岬ちゃんの姿があった。その表情は前髪に隠れて、よくわからないけど。

「岬ちゃん……?」

 呼びかけた僕に応えず、岬ちゃんは踵を返すと部屋の中へ戻って行く。でも、ドアは開け払ったままだ。

「は、入るよ?」

 僕は小声で言って、彼女に続き部屋の中へ入っていった。

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