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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第7章  タモツ 

 喫茶店を出ると別れ際に、おばさんからメモ用紙を渡された。

「勝手なことばかり言って、ごめんなさい。なにかあったら、こちらに連絡を」

 そこに書かれていたのは電話番号だ。それを見つめて歩きながら、僕はとてもやるせない気分になっていた。

 おばさんは、本当に娘のことを心配しているのだろうか?

 その疑念が払えなかった僕は、結局なにも聞くことができなかった。乱暴な言い方をすれば、岬ちゃんを苦しめるという意味において、おばさんも加賀見と同じ側にいるのではないかとさえ感じた。

 もちろん、決めつけるわけじゃないけど。それくらい、愛情というものを感じさせてくれかった。

 こんな風に思うのは、僕自身が親と上手くいってないせいなのだろうか。当然、親の方にも様々な言い分があるのはわかっている。

 でも僕は、僕くらいは岬ちゃんの味方でいたいと思うから。

「そのためにも、まずは――」

 僕は再び、彼女の住むアパートに戻ってきていた。

 時刻は午前八時すぎ。他の住人の多くは仕事や学校に出かけたころだろう。アパートはあまり人の気配を感じさせない。

 外階段を上り岬ちゃんの部屋の前に行く。おばさんが置いていった紙袋が、まだドアの傍らにある。僕は通路の柵に寄りかかるようにして、そのまま暫く待ち続けた。

 そうして三十分くらいが経つか経たないかのころ。カチャ、と微かな音を立て開いたドアから、右手だけが伸びてきて置いてあった紙袋を持ち去ろうとしてる。

「岬ちゃん――」

「えっ――!?」

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