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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第7章  タモツ 


 おばさんのいう「悪いこと」というのが、なにを示すのか見当もつかない。聞いても簡単には話してくれないだろう。

 岬ちゃんに引け目を感じているのは確かのようで、だからこそ終わるともしれないアパートでの引きこもり生活を許さざるを得ないのか。

 だけど、おばさんは娘の心配よりも「疲れた」という自分の気持ちを吐露したように感じ、そこに違和感を覚えた。

「あなた、お名前は?」

「やっ、山本といいます」

 突然、聞かれて少し慌てる。

「山本さんは、コンビニにお勤めを?」

「いえ、今はただのバイトで……」

「そうですか」

 おばさんは特に気にした様子もなく頷くと、僕の方をしげしげと見つめながら言う。

「二人がどういった関係なのか、詳しく訊ねるつもりはないわ。あの子が少しでも気を許す相手がいたこと自体、とても幸いなこと。それも同じ年頃の……だなんて」

「はあ……」

「山本さん、お願いです。できるだけ、あの子の面倒をみていただけないでしょうか?」

 おばさんは、急に毅然とした口調になった。

「僕が?」

「初対面で無理を言っているのは承知してます。ですが、他に頼る人もいません。食費等、あの子にかかった費用があれば、それはこちらでお支払いします。ですから、お願いします!」

「……」

 いろいろ聞こうとしていたことが、すっかりと頭から消えた。さっき会ったばかりのおばさんを前にして、僕は唖然としていた。

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