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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第7章  タモツ 


 だからこそ尚更、その関係性は不可解である。実家ならともかく、わざわざアパートの部屋を借りでまで、孤独にこだわる理由とは?

 そして、その生活を担保していながら、今なんて食料まで運んできているのに、おばさんの方がむしろ岬ちゃんに対して遠慮気味にさえ思えるのは、どうして?

 引きこもった根本の原因は、彼女から聞かされてわかっているけど。そこに至るまでには、まだまだ様々な経緯があるようだ。

 しりたい、でも。なにかを聞くにしても、たとえば加賀見の名前をだすとか、その辺りは慎重にならないといけない。母親にだって、どこまで話してあるのかわからないのだ。

 考えながら、僕はぽつりと言う。

「心配ですよね」

「え?」

「彩佳さんのこと」

「え、ええ……そりゃあ、もう」

「?」

 僕のなんの気なしの一言に、おばさんはなぜか狼狽えていた。一旦コーヒーを口にすると、ふっと息を漏らす。

「当然ですが、心配はしてます。けれど、私がいくら心配をしようとも、あの子の閉ざされた心がこちらに開かれることはないの。それがわかってる分、なんだか疲れてしまって……」

 そう言って、朝陽が照らしたテーブルの上を見つめた。その表情は無気力で、確かに疲れたようにみえる。最初の印象よりも、少し老けているように感じた。

「もちろん、あの子に悪いことをしたという気持ちは変わらない……それでも」

 まるで付け加えたような、言葉だった。

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