この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第7章 タモツ

「だけど、それはあくまで友達として、たぶん。それを正しく認識できないまま、つき合って何度も身体を重ねている内に、いろいろな感情が不透明になってしまった。そう思うからこそ、今度は流されないつもり。だから、希を支えるということが、希とつき合うこととイコールではない。今のところは、それが私の気持ちなんだ」
遠い目をして語り終えてから、美里さんはつと僕に視線を向ける。
「だから今回は、おあいこってことにしてあげる」
「!」
「オマケだからね」
僕の方を振り返り、美里さんは笑った。
僕からなにも返せないのは「ごめんなさい」でも「ありがとう」でも、今の子の気持ちを伝えるのに、どちらも相応しくなかったから。
僕が部屋を出ようとした時。
「あのね、均」
「はい?」
「ううん。なんでもない」
そうやって、美里さんは言わなかったけど。なんとなく、言いたいことはわかった気がした。
たぶん、それは僕も同じだから……。

