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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第7章 タモツ

「!」
名刺だ。
「こんなもの、とっておくつもりじゃなかったけどさ。あの晩、私も酔ってたからコートの内ポケットに入って、そのままになってたみたい」
「あ、ありがとうございます」
僕は名刺を手にして、そこに記された内容を目にする。
『ファンCプロモーション 社長 加賀見 永一』
「プロモーション……?」
それ以外にも名刺には、電話番号やメールアドレス、事務所の所在地が記載されている。
「そういえば、モデルがどうとかって」
「ああ、そう言えば」
「小さな芸能事務所って感じじゃない?」
「……」
だとすれば以前に、弘前あやかが所属していた事務所の社長と考えるのが普通。すなわち、自分で面倒を見ていたタレントに、あんな仕打ちを……?
そう思っただけで、胸がむかむかとしてくる。
「相手の居場所がわかって、均はどうするの?」
「わかりません。でも……」
あんなことをしておきながら、再び岬ちゃんの前に顔出そうとする、その神経が信じられない。絶対にそんなことを許してはいけない。
そんな風に考えていると、また正面でため息の音を聴いた。
「あのね、均。どうするの? ――ってのは、なにもあの子のことに限らないんだけど」
美里さんは、口を尖らせた。

