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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第7章  タモツ 


「他人をそこまで避けるその子が、どうして均のことは平気なの?」

「本当のところはわかりません。でも、たぶん……同じように僕が、人生に躓いてると感じたからじゃないかと……なんとなくですけど」

「ふーん。その意味では、私の場合と似て――」

「え?」

「ううん、なんでも」

 美里さんは頭を振って。

「それで、二人の間にはいろいろあったと」

 美里さんは「いろいろ」という言葉に様々な想像を含んだ感じで、わざとらしく抑揚をつけた。

「まあ……なにもなかったとは言いません。だけど、つき合ってたとか、そういうんじゃないんです。なんていっていいか、自分でもわからないんですけど。彼女は頑なに『恋人にはなれない』『そんな資格はない』って、その繰り返しで……」

「そうだよね! その言葉を信用したから、私だって――ああ、もう!」

「もちろん、美里さんとつき合うようになってからは、一度も会ってませんでした。その前に、もう二度とかまわないで、とそう言われたので……」

「じゃあ、結局はあの子にフラれたから、私に?」

「そ、それはあくまでタイミングが、そうだったというだけで……」

「ああん、とりあえず細かいことはいい! 話を進めて。つまり、あの子が引きこもったり、人を毛嫌いする原因を作ったのが、あの男ってこと?」

「はい、そうです」

「均はその事情を、どう聞いてるの?」

 あの動画ことは、具体的に話すわけにはいかない。

「酷く、傷つけられた、というか……」

「ふーん、そう。ま、勝手に想像を働かせちゃうと、下世話な芸能界の裏事情――みたいな話?」

「まあ、そうですね……」

 そう答えた僕の顔を暫く観察するようにしてから、椅子から立ち上がった美里さんは、僕の前に、なにかを差し出す。

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