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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第7章  タモツ 


「はあ……いいよ。とにかく、できるだけ事情を話して」

 どうしようもない僕に、それでも彼女は微笑んでくれた。

 僕は美里さんに、できる限り事情を話すことにする。

「弘前あやか……?」

「そうです。しってますか?」

「うーん、わからないなあ。そのスキャンダルのことも言われてはじめて『あ、そんなことあったかも』って程度だから。私、アイドルとかに興味ないしね」

 それも無理はないだろう。弘前あやかのスキャンダル相手、浜谷陸也の所属するFP7にしても超人気グループとはいえ国民的というレベルかといったら、そこまでではない。

 弘前あやかの方の知名度は、尚更である。コンビニに並ぶような雑誌のグラビアを飾っても、それを目にするのは男の方が圧倒的だ。

「それで、その弘前あやかというモデルが、あの――」

「そうなんです。これでもかと顔を隠し、深夜のコンビニに訪れていた彼女。どてらを着ていたことから、先輩は勝手に〝ドテモン〟なんて呼んでましたけど」

「アハハ、なんか木村くんらしいね、ソレ」

 先輩の名字を口にして、美里さんは笑った。

「それで、均とあの子の関係は?」

「それは……」

 僕は口ごもりながらも、とりあえずはじめて素顔を見た、あの場面から順に話をはじめ、岬ちゃんがアパートの部屋で引きこもってること、人と顔を合わせるのがどうしてもできないことなどを伝えた。

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