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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第7章 タモツ

「ま、そんなとこ。で、見かけたことは?」
「ないっすよ。あんな子が近くにいたら、オーラだけでビンビンでしょ。すぐわかりますって」
「どうかな? もしかしたら、変装してるかもしれないからね」
「はあ……?」
先輩が気のない返事をした時には、僕は既に男の背後に立っていた。
気づいた先輩が、僕にその話を向ける。
「なあ、見たことないよな?」
「……」
答えずに立ち尽くす僕の方に、男は振り返った。
「よ! この前は、どうも」
その気軽な挨拶を黙殺し、僕は薄ら笑みを浮かべる男を睨みつけた。
「あなたは誰ですか?」
「まあ、今は客かな」
この時は、まだ勘にすぎない。
なぜ、この男から嫌な感じを受けるのか。
それは、美里さんに絡んだ時のイメージが残るから?
いや、それだけではない。
僕は以前、この男の声を聞いている。
それは、すぐ最近だけど、この前、来店した時のことではない。
それが〝弘前あやか〟の名を口にしたことで、僕の脳裏を刺激した。
あとは勘から事実を導くための――証拠。

