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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第7章  タモツ 


「オイ! お前、なにやってんだよ?」

 先輩が僕を非難したのは当然だろう。

 僕は男の左手を掴むと、それを顔の前までねじ上げた。

「イテテ……おいおい、この前のことを、まだ怒ってるのか」

 僕より十センチは高い位置から、そう言われながらも、怯まずにコートの袖を引き手首を顕わにした。

「――!?」

 僕が、ソレを確かめた瞬間のことだ。

「いい加減に――しときなって!」

 ガシャン!

 僕は男の右手で胸倉を強く押され、レジの背後のガムやタブレットが置かれている棚に、背中を打ち付け、そのまま商品をまき散らしながら床に尻もちをついた。

「悪いな。男に触られるのは、趣味じゃないもんで」

 倒れた僕を一瞥し、男はコンビニを出て行った。

「大丈夫か?」

「はい……」

 駆け寄った先輩に、答える。

「お前、あの客となにかあったのかよ?」

 あったのは、僕じゃなくて――。

「オイって!」

 僕はよろよろと立ち上がると、先輩の静止もかまわずに店を飛び出した。

 でも、見渡した辺りには、既に男の姿はなかった。

 僕が男の手首に見つけた証拠は――〝蛇のタトゥー〟である。

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