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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第7章 タモツ

「見せびらかしてなんか、ないっすよ」
僕は憮然として言う。スマホを取り上げて勝手に見た挙句、例のメッセージを送りつけた張本人が、なにを。それが原因で、いろいろあったことが頭をよぎる。
「その彼女とは、上手くいってるのか?」
「いや……」
「なんだよ。じゃあ、今はつき合ってねーの?」
「そ、それが……」
流石に「実は美里さんと、つき合ってます」なんて言えるわけがない。
「それがぁ?」
「いえ、別に……じゃあ、床清掃にかかりまーす」
僕はごまかして、とりあえず先輩の追及を逃れた。
そもそも、美里さんとの関係がどうなるのか、今はまだ微妙だ。今日のバイトが終わったら、その辺りについて話す約束をしている。
そういえば時間や場所は決めてないけど、バイトが終わったらまたメッセージをすればいいだろう。また、この前と同じファミレスでいいよね。
そんなことを考えながら、モップを用い床の清掃をしていた時だ。
「あ、いらっしゃいませー」
店内に来客を報せるチャイムが鳴り、今日発売の雑誌の陳列をしていた先輩が、そう声をかけた。
一瞬、もしかしたら美里さんでは、と焦ったけど。仮にそうなら先輩の挨拶がこんな気の抜けたものではないだろう。背中越しにちらりと見たけど、どうやら来店したのは男性客のようだった。

