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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第7章 タモツ

◆ ◆
それから一週間くらいは、なんともいえない微妙な心境のまま日々を過ごしていたように思う。部屋の中で一人、ベッドに寝転ぶとため息を吐く。
その間も美里さんとは何度も会っていたけど、岸井さんの件について改めて話そうとすることはまだなかった。たぶん今話しても平行線を辿るのが、わかっていたから。
でも話題を避けていても心の中では引っかかり続けていたから、二人でいても妙な緊張感から解放されることはなかった。
こうしてる間にも、岸井さんの病気が進行しているのではないか。そう考えると、大きな焦りに襲われてしまう。
岸井さんはあれ以来、美里さんの元から去り連絡すらしてこないという。あの時に言った通り、僕たちの結論が出るまで待っていてくれているのだろう。
僕は不意に、彼女のぽつりと漏らした言葉を思い出した。
「だから、一人じゃ心細いの」
その言葉から、岬ちゃんのことを連想して、頭を振った。
岸井さんのことが心配だから、美里さんと別れる?
岬ちゃんのことが気になるから、美里さんと別れる?
そんな風に人のせいにするのが嫌だから、美里さんと別れない?
「本当の気持ちは、どこにある?」
自らを叱責するように、そう口から吐き出していた。

