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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第7章 タモツ

動画はその様子を生々しく記録したものではあったけど、実際にその顔や姿を映し出したものではなかった。
ためしに浜谷陸也の歌声や話している声を聞いてみたけど、それがあの動画の中の人物と同じとも違うとも断定することは難しかった。
あと手掛かりになりそうなのは、手首にあった蛇のタトゥーだけど。それを確認しようといくつかの画像を見ていく途中で、僕ははっと我にかえった。
「別に……犯人捜ししたところで、それがなんなんだよ?」
自分で言いながら、胸に虚しさが広がる。
彼女を犯した犯人なら、彼女が誰よりもわかっている。だけど彼女は、僕にそれを語ろうとはしない。助けてくれとも言わなかった。
それどころか彼女は僕を突き放したくて、一番思い出したくない場面をあえて見せたのだと言った。
だったら、こんなの心配した素振りにしかならない。不幸でかわいそうな彼女を支えたいなんて、直接的にも間接的にも自分を気持ちよくしたかっただけではないのか。
そして、こうして彼女のことばかり考えるのは、美里さんのことを裏切っているも同じ。
「くそ……」
急に全身に疲れが広がり、僕はベッドに横たわった。

