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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第6章 美里晶

「み、美里さん!?」
「いいじゃん。周りなんか気にしなくても。夜中のバイトだったのに、つき合ってくれてありがとうね」
こんな風に恋人と無邪気にじゃれ合うなんて、今までは考えたこともなかった。
常に後ろめたい気がしていたのは、すべて私のせい。寄せられた好意に流されるままに、相手に合わせるように生きてきた。
だからこそ一緒にいてくれた彼女たちには、申し訳ない気持ちが残る。自分が自分らしくあろうとしないから、彼女たちにまである種の虚しさを伝達していたのではないか。ひとつの恋愛が終わるころには、いつでもそんな空気が立ち込めていたように思う。
希だって、きっと……。
「どうかしましたか?」
「ううん、なんでも。じゃあ、食事でも行こうか」
均の腕を絡めとるようにしながら、食事をするための店を探した。入ったのは洋風居酒屋のお店。
この日は食事だけにするつもりだったのに、均の「どうせ、飲むんでしょうから」という言葉に甘える。サイコロステーキとライスを口に運ぶ均とカウンターの端で肩を並べ、適当なオードブルをつまみに私の方はまたしてもお酒を飲みはじめていた。
今時、こんなにもアルコール漬けの若い女もどうなのだと、自分自身に半ば呆れながら。それでも楽しく思えるのは、隣に均がいてくれるからだと思う。
「ねえ、実際にさぁ。均からすると、どんな感じなの?」
お酒を飲むと、予想外のことを口にしてしまうことはままあること。こんな曖昧な質問をしているのも、その一例なのだ。

