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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第6章  美里晶 


 均の時間が取れた火曜日のこと。私は午後四時に、待ち合わせの駅前に向かった。

 前と同じように美味しいものでも食べてから、私の部屋でもよかったのだけど。それでは余りにも味気ないような気がして、食事の前に映画にでも誘ってみようと思ったのだ。

 均から、身体だけが目的のように思われたくない。

「アハハ、普通は逆だってば」

 自分で考えたことを可笑しく感じ、思わず笑って自らにツッコんでいる。最終的なゴールをベッドインに設定しながらデートの段階を踏まえる様子は、まるで若い女をものにしようとする中年男のやり口みたい。

 それでも私の頭の中身は否応なく、ベッドで絡み合う二人の場面を夢想してしまう。

 この前はじめて食事をした後、すぐにマンションに誘ったのも、後で考えれば早急だと思わないわけもなくて。お酒に酔っていたせいもあるし、ノリに近いものがあったのも事実だ。

 誘った段階では私自身が男というものをしる前ということもあったし、均はコンビニでバイトしてる時と同様、とても臆病で真面目な少年というイメージを保っていた。

 男は豹変する生き物とは、よく聞くこと。だけど、均に対しては警戒心を抱く必要を感じなかった。というより、私の方がある意味でスリルを楽しもうといった感覚だったのかもしれない。

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