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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第5章 均

いろいろな気持ちが整理できずにいて、そんな状態で美里さんの誘いに応じたのは、やはり間違いだったのかもしれない。
「そうだね。楽しくないかも」
美里さんがきっぱりと言った時には、このまま怒って帰ってしまうことを覚悟した。だけど――
「楽しくはないけど、ドキドキはしてるかな。割とね――」
そう言って僕を見つめた美里さんは、今までにないくらい一番魅力的だった。嘘やからかう目的で、そう言っている感じは微塵もない。
それでも美里さんが魅力を増すごとに、僕からかけ離れた存在に映るのはどうしようもなくて。僕は彼女の示してくれた好意を、素直に受け取ることができずにいた。
「じゃあ、山本くんにはさ」
「はい?」
「あなたの目には、私ってどんな風に映ってるの?」
不意にそう聞かれて、僕はしどろもどろに、こう答えた。
「そ、それは……美人だし、おしゃれでカッコよくて。それでいて気さくで、僕なんかとも話してくれますし……」
「まぁた、そうやって自分を落とすんだから……」
「いえ、すみません。とにかく、憧れます。それは別に、僕に限ったことではないんじゃないかと。バイトの先輩もそうですけど、大学の中でもきっとモテるんじゃないかなって……」

