パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第5章 　　均　　

「うん、モテるよ」

　美里さんはそう言ってからおどけたように舌を出して、続ける。

「アハハ、ごめんね。別に自惚れじゃないんだけど」

「いえ、誰もそんな風に思いませんよ」

「ふふ、ありがと。でもね。実はわたし、ずーっと、満ち足りてないの。言い寄ってくる男は確かにいるけど、その誰もがいわゆる〝いい女〟というレッテルを勝手に張ってくるんだ。そっれて、どんな感じかわかる？」

「いえ……」

「すなわち、恋愛経験が豊富であって、それ故に理想が高く常により〝いい男〟を求めている高飛車な女。だから言い寄ってくるのも、自然と自分に自信のあるような男に限られてくるの。だけど実際は、その手のタイプほどウンザリって感じでさぁ……」

　美里さんはそう言うと、頬杖をついてため息を吐いた。

　この前、店で男性客に言い寄られた時の、美里さんの様子を思い浮かべた。あの時、怯えていた理由が、今言ったことで全て説明がつくとは思わないにしても。

　少なくとも美里さんが、僕にかまう理由なら少しだけわかった気がした。

　美里さんのことを、もっとしりたい。僕ははじめて、そう感じている。