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キズ×ナデ【Hな傷跡と仮初の愛撫】
第5章 均

「それよりも……さ」
「?」
「彼女の方は、大丈夫だった、の?」
美里さんの態度がどこか遠慮がちだったのは、やはりその点が気になっていたからのようだ。僕と同様に、美里さんも岬ちゃんの存在には気がついていたから。
顔色を窺うように訊ねられた時に、僕は質問の意図とはややずれてこんな風に答えていた。
「彼女、じゃないですから」
当然、美里さんが〝彼女〟という言葉を、そういう意味で使ったのではないことぐらいわかっている。なのに僕は、あえてそう言ったのだ。
すると、今度は美里さんの表情が明るくなる。
「あ、うん。そうだったね」
納得するような感じで、頷いた。
以前、美里さんから「二人って恋人同士なの?」と質問を受けた時に、それをきっぱりと拒絶したのは岬ちゃんだった。
その時の想いと、今の気持ちがシンクロする。だからこそ美里さんには、さっきのように答えたのだ。
僕はずっと、岬ちゃんにとって、一体なんだったのだろう?
また気持ちが滅入りそうな顔を覗き込まれ、美里さんに言われた。
「今度、食事いこう」

